お迎えに来るヒモ流星くん

うちで飼ってるヒモ流星くんは、給料日にだけ会社までお迎えに来る。


上司から定時間近に押し付けられた仕事をイライラしながらやっと終わらせて、会社を出ると、会社前の生垣に座ってスマホを弄ってる流星くん。もう大分髪の毛が伸びてプリンになってきてるな〜なんて、街灯に照らされる流星くんを見ながら近付いた。


ハイヒールの足音でこっちを振り向いた流星くん。いつものふにゃふにゃ顔で「お疲れ、今日遅かったなあ」


今日遅かったなあなんて、いつもを知らないくせに。わたしが帰った時に家に居るのなんて、滅多に無いくせに。

そう思うけれど、流星くんの顔を見てると何も言えない。流星くんのたった一言で、こんなにも満たされるから。


「今日は何食べて帰る?ずっと待ってたから、めっちゃお腹空いたわ~~~

そう話しかけてくる流星くんの顔はとても無垢で、久しぶりだし焼肉にしよっか?って提案したら、目をキラキラさせ、私の手を引いてスタスタ歩き出した。


流星くんとは、わかり易いデートなんてしないし、手を繋ぐのだってこんな風に流星くんの気の向いた時だけ。でも、ギュッと手を握ってくれるし、歩幅はちゃんと私に合わせてくれる。



「今日、望とな、遊んでてんけど……あれ?何が面白かったんやっけ?ふへへ」

友達と遊んだ話をする時とご飯食べてる時の流星くんは、世界で一番かわいい。

大体話にオチは無いし、モグモグしながら喋るからご飯落としてるけど。


お会計終わった後はお決まりの

「ごっそーさんでした!ほんま大好きやわ~~~」

っていう、軽々しい大好きを頂く。大好きとか誰にでも言うんでしょ?って聞いたら、お前だけやんってへらへら答えるの。


「明日何時からなん?お仕事休み?」

って毎回聞いてくれるから、給料日の次の日は必ず休みにしている。だって、この日だけは流星くんがどこにも行かないから。


「ほな、どこ行こかーー……あ、この前めっちゃ夜景が綺麗なとこあって、そこいこや~~~」

なんて、誰と行ったんだよっていうホテルに連れていかれるし、勿論費用は私持ち。


「ここ、めっちゃ綺麗やろ?見せたかってん」

誰にでも言うセリフを喜んで、流星くんに溺れて、朝起きると、もう流星くんは居ない。




そして、またしれっと家に帰ってきて、グレーのスウェットを着てソファーで寝てる。

わたしが帰ってきたことに気付くと、

「おかえりぃ、プリンあるで」

って優しいからまた深みにハマっていく。









そんなクズなヒモ流星くんにズブズブに溺れる女もいいよね。